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湯たんぽについて

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 今年も湯たんぽの季節になった。まぁ冬が来たという事。 この湯たんぽの最大の特徴はコンパクトなサイズだ。湯たんぽを製造するツバメテックには3サイズの湯たんぽがあり、中でも一番小さなサイズをFD STYLE湯たんぽとして販売している。理由は単純で、必要以上に沢山のお湯を沸かすして用意するのは大変で、使わなくなってしまうから。毎日布団に入る少し前に2リットルもお湯を用意するなんて、電気ケトルでもすぐに沸くのはせいぜい800㏄くらいのお湯でしょう。この湯たんぽは700㏄くらいのお湯で十分使えます。 道具に対する考え方は様々です。デザインするうえでも大切なことは道具がすべてではないこと。例えばうちのオロシは受け皿をつけていません。FD STYLEにはオロシだけでも3種類あるのですが、一番大きなオロシは専用の受け皿はありません。ボールで十分におろせるからです。皆さんは1週間でどれくらいオロシを使いますか?使わないとき引き出しの中で邪魔にになっていませんか。買ってから後悔する邪魔な道具は結局使わなくなります。 FD STYLEは最小限の道具をイメージしてデザインしています。使っていないときも道具は存在するわけです。立派な受け皿が引き出しにしまっているときは邪魔になるときもある。 使い方を考えればコンパクトであることは、用意するお湯も少なくて良いわけで、毎日2リットルのお湯を沸かして1名分の湯たんぽが使えれば良いのか?例えばキャンプの時に2リットルのお湯を沸かせる?とか考えなくてはならない。 今年は湯たんぽの注文が多くて、初回の製造分はすぐに売り切れてしまいました。アウトドア人気のせいなのか、それとも燃料費の高騰で湯たんぽが見直されたのかわかりませんが、最も必要な時期に欠品させてしまいました。7年目で初めて湯たんぽ本体が理由の欠品です。現在金属材料の価格変動が大きく流通が安定しないこともあり、製品全般に納期が掛かります。 ニットの方も、糸を製造しているニットーボー新潟の工場閉鎖が決まりリバースという名の特徴ある糸の製造が終わります。今年で最後の製造をサイフクさんにお願いして2年ぶりにつくりました。リバースを使ったコットンのカバーはこれで最後です。独自の風合いの糸ですので欲しい方はこの機会にどうぞ。 カバーの方は昨年からの栃尾の白倉ニットさんで作るウールのカバー「キナリ」「チャコー

FDSTOREにて

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 ちょっとだけ嬉しい事がありました。何かといえば、僕らの店で製品の修理を頼まれたことです。 そもそも僕らの店舗は宣伝もしていないし、1日1組お客さんがくれば良いというお店です。何故そんな店をやっているかという理由の一つが製品の修理を受けたいからです。僕らのデザインする製品は道具でしかなくて、長くは使えると思うけど永久ではありません。少しでも長く使ってもらう為には適正なメンテナンスがあ必要だけど、製品が安価なので買い換えた方が良いって思われやすい。  FREITAG Store Tokyo Shibuya に行った時にこんなお店が良いなと思って始めたのがFD STOREなわけ。 僕らの製品で比較的修理の問合せがあるのはフライパンのハンドルの交換。これはハンドルの竹の部分とレンチを一緒にして販売している。もちろん新潟市のお店に来てもらえればその場で交換もできるけれど、そういうお客様は残念ながらまだいない。それ以外にメンテナンスが必要なのは花はさみだと思う。刃物は使っているうちに切れ味がどうしても低下してしまう。 FD STYLE 花はさみは刃が交換できる構造になっている。本来替刃を流通できれば良いのだけど簡単ではない。刃よりもハンドルの動きが悪くなったという声も多い。これは専用工具で分解し掃除すれば簡単に解消する。バネも交換式で交換できるけどバネを交換しなければ鳴らないケースはまれだ。 部品交換がなければ店舗では無料でメンテナンスを行なっている。プラスチックだからだめと考える人もいると思う。デザインする立場からすれば、プラスチックでなければできないことも、金属や木の方が良い物もある。 かくしてFD STORE設立およそ3年目で初めて修理を受け付けました。依頼内容は花はさみの「ハンドルの動きが悪い」というもので分解して洗浄して組み直すだけで解決しました。 ただ、刃が多少消耗しているのと湾曲してそっている。せっかくだから刃も交換しては?と提案したらお願いしますとのこと。 ちょっと心配だったのは刃だけが曲がっていれば良いけれど、フレームが曲がっていたら嫌だなぁ。新しい刃を付けてみたけど問題なさそう。プラスチックの傷一つ一つが道具として機能してきた跡なのだろう。 メンテナンス内容を記載した書類と一緒にお返しします。 花はさみ自体は先回のブログに書いたように廃番が決まっていてうち

「廃盤」ー商品が終わる事について。

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プロダクトデザイナーと言う職業で沢山の製品を作ってきた。始まりがあれば終わりがあるのだけれど、通常デザイナーには廃盤は縁がない。 FDSTYLEでキッチンツールと並んで最初からあるアイテムが「花はさみ」。2009年のGoodDesign賞に選定されているので12年位販売してきた。この製品が今回廃盤となる。 今でも良く覚えている。面識の無い東京の自由が丘フラワーズの横山社長から、オリジナルで園芸ハサミを創るのだけれど工場が新潟のなのデザインをして欲しい。という電話をいただいた。その時に初めて紹介されたのが、株式会社カバサワの社長と専務である。マイク真木の様に白髪を後ろで束ねた社長と奥さんで長岡弁で話す専務。お邪魔するときは何時も2人で迎えてくれた。昨年の6月頃に社長(この時点ではすでに会長)が完全に引退し、自ら準備した施設に移りもはや工場にも来ないとのこと。 はさみと呼んでいるけれど、金属の刃で挟む構造ではない。外国製「アンビル」と呼ばれる似た構造の物があるけれどそれとも違う。FISKERのバラ切りが似ているけれど厳密には違う。刃の構造が両刃であるからだ。薄い刃の場合木のを切るときに片刃つけだと力が中央に集中せず捻れる。薄い刃であるので捻れは力のロスでしかない。刃が薄いと長切れしないのでは?と考える人もいるだろう。写真のように刃の先端を「鈍角」にする二段刃であるので厚い刃と変わらない。問題は刃が厚くなることで木を切るときに木の繊維を押し分けて進むことができずに必要以上に力が必要だということ。木を如何にして切りか?ということ関してカバサワの社長は本当によく研究されていた。安来鋼やスエーデン鋼の事も社長から教えてもらった。 鍛治仕事だけにとどまらず、この鋏を作るために縦型の成型機も導入したし、ガラス繊維で強化する成型も一緒に勉強させてもらった。替え刃式のはさみを作りたいという考えは道半ばではあったけれど、流通も含めて僕らの力不足も感じることとなった。でも、本当に木を切るということについて多く学ぶことができた。もちろん調理器においても応用できる考え方と知識になった。 数年前から準備をしてキッパリと決断した引き際は見事というしかない。息子の新社長のもと新しい方針で当面はノコギリに専念していく方針との事ではさみの製造は修了するとの事でした。もちろん、継続して生産してくれるよう交