何故デザインをするのか?

何故自分はデザインをするのか?
もちろんデザインが好きだし、素敵なデザインのプロダクトが好きです。
更に言えば、私のデザインが周りの人を笑顔にするのが好きです。

最近ある人から「萩野さんはFDでは無く萩野光宣として露出するべきだし、その方が分かりやすく伝わるのではないか?」とアドバイスされました。

自分のしたいことは何か?一緒に働くスタッフにも聞かれるときがあります。自分は何の為にデザイナーをしているか、考える時も多いです。

あまり親しくありませんが、身近な人物に爪切りで有名な諏訪田製作所という会社の小林社長がます。小林さんは「鍛冶屋がかっこよく見えるようにしたい。」と話していました。単なるビジネスではなく「鍛冶屋自体がかっこよく見える」ため働いていると、深くは聞いていませんが、確かにSUWADAが実現している事は鍛冶屋がかっこよく見える為の行為に見えます。SUWADAの爪切りは信じられないくらいディテールにこだわり常に改良を加えています。私には全く関係ないが「悔しい」と思うときがありました。製品だけでは無くパッケージや社屋の創り込みに関しては、ビジネスと考えてやれることでは無いなぁと感じています。

自分が生み出した製品を常に改良しイノヴェーションし続ける。ロングライフデザインとは単に長く生産する事ではなく成長し続け事だと思います。でもそれは、単なるデザイン事務所ではやれない事と感じていて、でもそれをやってみたいと思うようになっている自分がいる事もあり、モノの流通に関われれば関わるほど、理想を掲げる事と現実のギャップを感じてしまったりします。

それが目的ではなくても、ビジネスとして成立させることから生まれる。

今回FD STYLEとして「湯たんぽ」発売する。今までもキッチンツールやゴミ拾いトングなど販売してきたので誰も疑問に思わないかもしれないけど、大きなターニングポイントになる製品です。すべての判断を自分たちで行った製品だからです。

たった3人の事務所で地球の裏側にもデザインしたモノが売られるようになり、次のステップとして自分たちの経営資源ですべての判断を行う製品を作り流通させるところまで来られました。

私がなぜデザインするか?(誤解されそうですが)モノを売りたいわけではありません。新潟でデザインする事がカッコよく見えるようにしたいのです。
地方のデザイナーの環境は決してクリエイティブではありません。一部には恵まれた人もいるかもしれませんが、その恵まれた環境はデザインで実現しているわけではありません。

例えば産業用の何かをつくる事で利益をだし、それにより広報や企画といったクリエイティブな部署の環境が良くなったとしても、そこで働いているデザイナーはカッコよくないし、搾取されるだけのデザイナーもカッコよくない。

新潟でデザインする事が魅力的に思える環境を作りたいのです。FDは小さな事務所ですが、常に働いてくれるデザイナーに良い環境を作りたいと考えて23年続けてきました。一緒に働くスタッフにはそれぞれ事情が有り離れていく人もいます。その度に苦しい思いをしますが、自分のためだけにデザインしたいと思えないし1人でやりたいとは思いません。

デザインする事に誇りが持てるデザイン事務所を新潟に作りたいから、デザイナーだけでなくデザインで成長する会社を新潟に増やさなくてはなりません。経営者の友人には笑われるけど、今はたった3人だけどこれを諦めてデザイナーを続けようとは思いません。

FDは私個人ではなく、優秀なデザイナーの集団だからこそ、素敵で売れるシンプルな製品を生み出し続ける事が出来ていて、他には類を見ない形のデザイン事務所に近づいていると思っています。

FDは世界中の人に知られた、他に比較出来ないデザイン事務所を目指しています。


来年1月にはショールムを兼ねたデザインを発信するスペースを新潟市内に作る計画をしています。一緒に働いてくれるスタッフも募集しています。



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