自分になにが出来るのだろう。

 2020年は世界中がコロナ禍一色ですね。

皆さんはコロナの自粛期間どの様に過ごされましたか?

私は2月中は展示会で青山スパイラルホールに行ったり、その後も東京へ打合せなどで足を運んでいました。3月になるとコロナの問題が想像よりも深刻であることが分かってきます。そして4月日本もとうとう自粛期間が始まります。

私は3月が一番不安でした。思えば2019年には仕事全般が少なくなっていたのかと思います。スタッフの産休と育休が有って余裕が無かった事もありますが、少なくとも3月は、この先どうなるのか?と不安でした。そんな時、寺泊の銅製品の工場で銅のマスクケースを作ったのだけどどうやって売れば良いか?という相談がありました。製品自体は銅製のタッパーのようなケースでここにマスクを保存するとウィルスを殺菌する効果があるというものでした。この頃は東京へは移動できる状況では無く、商社を紹介すると1000個受注しました。

コロナ禍によって行動は制限されるけれど、逆に必要になるものもある。そんな時、たまたま立ち寄ったスーパーの入り口で足踏み式の消毒液スタンドが目に留まりました。その頃エレベータに乗ってもボタンを指で押さなかったり、ウィルスを避ける為人の触れたモノには触れたくないと皆が感じていました。アルコール消毒液のポンプに触れずに使える安心感は良いなと考えました。

直ぐにデザインして、燕のササゲ工業の棒常務に作ってくれないかと相談に行きました。この時期捧常務とは頻繁に連絡を取り、コロナで世の中が厳しい状況になっても、必ずチャンスはあると励まし合っていました。初期のデザイン案に対して捧常務は、コロナが収束しても例えばコスメショップにポンプ式のサンプルスタンドとして使ってもらえる様なデザインに出来ないか?と言うのです。多くの工場の人は、簡素化を求めても難しい方向の要求をする事は稀です。私自身、つくって欲しいものは第一印象で簡単に作れそう、と思われるデザインをしてしまいます。

右は3DCG、左は製品

その時の打合せで、ササゲ工業で製造するホテル用の特注バス用品を見せられ、薄板では無くステンレスのソリッド感を持たせた造形のアイデアをカタチにする事にしました。単なるステンレスの細いパイプだけで足踏み式の機構を収めようと考えました。フットペダルもタオル掛けの様なステンレス丸棒でシンプルにまとめました。

消毒液のサインに関しても基本的には、それが当たり前になってしまえば必要なくなると考え「消毒液のボトルが宙に浮いている」をイメージしてカタチにしました。

最初に目にしてショッピングセンター施設の備品と違い、入り口にそれが置かれることで衛生面での安心感を与えることにつながる道具。本来そのようモノを置きたくはない空間に、あえて置きたくなるような存在感を目指しました。

9月10日発売の足踏み式消毒液スタンド[HS-D1]は今のところ里山十帖、松本十帖、箱根本箱と言った素敵な空間に採用してもらえそうです。それ以外にもわざわざやツバメコーヒーをはじめ身近なところから採用してもらえそう。以前はプロダクトデザインというのは、自分とは距離のある所で発生するモノとイメージしていましたが、今は本当に身近なところで生活の道具として必要とされるのだと感じています。

東京を見て仕事をするから今の自分を見て仕事をする、with コロナは私にはそう言う感じです。それが良いのかは分かりませんが、今の自分が出来る精一杯です。

スタッフが専用のサイトを作ってくれていて、今は未だ未完成で消毒液スタンドだけですが、何か新しい事を発信していきたいと考えています。

足踏み式消毒液スタンドHS-D1

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挽物屋と作るカスタム文具

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