グッドデザイン賞について

グッドデザイン(Gマーク)という制度についてご存知でしょうか?
デザイン振興会によれば87.7%の人が認知していて、58.5%人が受賞した製品やサービスに魅力を感じているそうです。



私自身はこの数字に疑問を感じています。

確かに「知っている」人は多いでしょう。ただ正しく知っているでしょうか?
以前は通産省(現在の経済産業省)が主催し、日本の工業製品のデザイン面でのレベルアップのために設けられた賞でした。現在は国の事業を離れ公益財団法人日本デザイン振興会が主催しています。

何故、国の事業でなくなったか、それは国がデザイン振興を直接行う必要がなくなったからでしょう。だだ、何かしらのデザイン振興自体は必要なのでデザイン振興会が運営しているのだと思います。

GOOD DESIGNのホームページを見ると、手続の説明や応募を募る為のグッドデザイン賞の効果(はじめに書いたような数字)といった説明ばかりでよく見ないと大切な事が伝わりにくいと思います。

古くて新しい「DESIGN」という考え方や時代と共に変化する役割等グッドデザインが果たすべき役割については動画などを見ないと分からないし、通産省時代のグッドデザイン賞のイメージのある人には伝わりにくい内容ではないかと思います。

私はもちろん、審査員でも関係者でもありません。私は自分で応募(手続き)するので落ちるの嫌だしよく読んでいるから分かるにすぎません。

工業デザインではIFやred dot等が有名ですが、私は外国語が苦手なので主催者が何をテーマにしているのか分からないので出品できません。

今年は審査委員長の深沢直人さんが「心地」の質をテーマに上げています。文脈を読み解き自分の担当した製品がふさわしいと思わなければ参加しません。一般の人は知らないかもしれませんが多くの賞は自分から出品し、掛かる費用は自己負担です。受賞しなければ費用負担分マイナスだし、受賞しても自分のデザインのポイントがずれていては意味などありません。

心地の質以外にも、デザインが解決しなければならないテーマが挙げられています。そのテーマに対してどの様なアプローチをしたか短い文章にまとめなければなりません。ここが肝心で出来上がった製品が外見上いかに素晴らしかったとしても、主催者の求めるテーマに応えていなければ賞から漏れる事も有るでしょう。

この時のテーマに有っていない製品を出品しても意味ないし、選ばれない事は理にかなってるので良いと思います。グッドデザインは公益法人とはいえ日本デザイン振興会が自分たちの基準に照らし合わせテーマを設定した「賞」であってスタイリングが優れたものを選んでいるわけでも、テーマを変えれば素晴らしい製品を表彰するわけでも無いし、応募の書類の中に求められたテーマに対する回答が無ければ伝わらない事もたくさんあると思います。製品を見れば伝わると思っているとしたら間違いですよね。

IFやred dotだってきっとそうだと思います。wallpaper design of the yearのように主催者側が勝手に表彰する賞は違います。作り手の意に反して主催者が勝手に表彰するからです。賞にもいろいろありますよね。多くは応募して「獲りに行く」ものです。

グッドデザイン賞に賛同しなければ応募しなければ良いだけです。誰かの利益を害する事も無いと思います。逆に誰も応募しなければ続かない事業で「役割を終えた」という事でしょう。

ただ、折角そのような賞が日本にあり、アジアの国々でも支持されつつあるので批判する必要はないと思います。もっとこうすれば良いという提案も有ると思いますが、主催者には主催者の基準が有るわけだし、募集の際に開示されていて了承して応募しているのだから批判する事は無いと思います。。

デザイナーとして日本のGOOD DESIGNが世界に通用する賞である事は誇らしいし、グローバルな時代だからこそ地域や国として有益だと思います。

私の推測では素晴らしい製品なのに受賞しないとしたら、伝え方が悪いのでしょう。面倒がって第三者が手続しているとしたらその可能性が高いです。

私自身はプロなのでBEST100を目指しています。BEST100とはたぶん3年位前から設けられたGOOD DESIGN賞の順列です。BEST100残れるように良い製品をデザインしていきたいと思います。GOOD DESIGNも少しづつ進歩しています。日本の工業製品が成熟期に入っている現状「デザイン賞」は意味を持つと思います。賞は、ものづくりの歴史が有って初めて価値が生まれるのではないでしょうか?IFやred dotはそれぞれものづくりの歴史がある国で実施されている賞だから価値が有るのではないでしょうか、そう思っています。

GOOD DESIGN賞には費用が掛かります。最少でも23万円くらいです。私のように地方からの応募だと交通費などもっとかかります。では何故応募するか?私の製品は10年は楽に作り続けます。GOOD DESIGN賞は販売している間ずっと表示できます。永く作り続けるつもりなのでプロモーション費用としては「割安」と考えています。台湾や香港といった市場ではGOOD DESIGN賞は有効です。日本の優れた製品であるという認知に確実につながります。

賞は取るだけでは何にもなりません。プロモーションに繋げて初めて意味が有るのです。私達の様な地方の無名の製品が海外の方に知ってもらい、欲しいと思ってもらえるほんのちょっとの効果が有ると考えていますし、感じてもいます。

10月1日の発表が楽しみです。

コメント

このブログの人気の投稿

鉄フライパンの安全性について

百年物語の鉄フライパン

金属も色々あって食品に触れる時、どの様に考えるかという事。