チタン製移植ごて

あるメーカーの社長と話していて、もっとメーカーの製品開発は「プロダクトアウト」で良いのではないかと話した。商品の価値は、ユーザーが決めるのだろうか?流通が決めるのだろうか?もちろん其々の意見に耳を傾ける必要はあると思うが、まずは製造メーカーが訴える必要があるのでないかと。写真のような「移植ごて」はステンレス製のモノで700円程度だそうだ。鉄に塗装したもので100円。消耗品でもないのに。道具に愛着も持てなければ、大切に使う気持ちもそがれる価格でないかと思います。
 
 もちろん、そんな製品をデザイナーに頼んでデザインしたのではメーカーはつぶれてしまう。この形にするためには何工程ものプレスが必要で、効率よく造るために順送型で造られる。この順送型などはかなりの投資となる。それだけでなくプレス型やプレスの工程には匠の技術やノウハウがある。かのデザイナー奥山氏が燕三条の製品は量産品にも匠の技術を生きると称賛したが、正にその通りである。
 
 写真はチタンを使った移植ごてである。チタンは高い耐食性を持つ。つまり錆びない。鋼鉄以上の硬度を持つ。つまり強い金属である。イオン化しにくいため金属アレルギーを起こさず、人工関節等に使われる金属です。アルミよりは重いが鋼鉄の半分以下の重さ、つまり軽い。屋外や海水のかかる場所でもきっと一生使える。アウトドアに最適。 
 
 欠点は価格である。ステンレスの20倍の材料費が掛る。こういった製品の需要が計り知れないので通常こういった製品は驚くほど高額になる。フライパン等に使ったものもあるが、熱伝導は極めて低いので調理には向きません。
 
私の考えるMade in Japanは目的に合った良い製品を工夫して製造する事で比較的安価に造られた製品。現在の流通では売りにくい「希少性」や「価格訴求力」のひくい製品です。
でも、本当にその道具を必要としている人に、愛着を持って使い続けてもらう。買いかえる時もまた同じ商品を選んでもらいたい。いくら良い製品でも法外ないわゆる「ブランド品」をデザインしたいとは思わない(頼まれないしね)。

ステンレスの20倍の価格で比重が約半分って事は材料費は10倍って事だし、当然製造工程も多少変わってくる(マグネットがつかない等)事を考えても、どのくらいの価格ならある程度の量が売れるのか、製造側が自信を持って答えを出すべきなのだ。(近くfd storeで販売予定。)
こう考えるようになったのは、友人(酒造メーカー)とお酒を飲んだときに言われた一言がきっかけ。新潟の酒は美味しい。

麒麟山酒造
http://www.kirinzan.co.jp/

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