金属も色々あって食品に触れる時、どの様に考えるかという事。
最近すっかりコーヒー通だ。
「スポーツ飲料を飲んで6名が苦味を感じ、頭痛、めまい、吐き気などの症状を呈したとの連絡が保健所に入りました。
実際に患者が飲んだスポーツ飲料は、通常は乳白色のところ、青緑色に変化しており、水筒の内部には小さな褐色の物質がたくさん付着していました。 検査の結果、残っていたスポーツ飲料から高濃度の銅(880μg/g(ppm))が検出され、水筒の内部に付着していた褐色物質の主成分も銅でした。
この事例の原因は、水筒の内部が破損しており、スポーツ飲料を入れて長時間置いたことにより、破損部分から通常は飲料に接しない二重構造の内部に酸性のスポーツ飲料が染み込み、保温構造に使われていた銅が溶出したためと考えられました。」
私の場合、何でどうやって作られてるか自分なりに納得する事が大切だと考えている。
まずは金属について、食品衛生法によって使用が認められるどうか。
例えば銅という金属。
食品衛生法は食品に触れる部分には全面スズメッキまたは銀メッキをしなければならないと定められています。これは、緑青と呼ばれる錆が有害という認識に起因したものです。現在は緑青については有害でないとされ、それを受け銅が安全のように思われている方も多いようですが、食品衛生法上は食品に触れる部分に銅の使用は認められていません。
銅は酸に溶けやすく、過剰に摂取すると、吐き気や下痢などの中毒症状を起こすことがあるそうです。実際に東京都が注意を呼び掛けています。
もちろんお湯を沸かすくらいなら問題ないでしょうが、スポーツ飲料を絶対に入れないものに使用するべきですね。酸を含む食品を盛り付ける可能性が有るものにも使用は避けましょう。
それを生業としている業界団体は納得できないのでしょうが、自分の身近で同様の症状が出てそれでもその金属で無ければならないと思うのでしょうか。アルミにもいえる事だけれども、プロなら一般の方が多少の間違った使い方をしても「安全」なものを提供するべきだと考えます。
上記の東京都の例で最も気になったのは、ステンレス製の魔法瓶にスポーツドリンクを入れていたと思われる点です。何故ステンレス製の容器から銅が溶け出すのでしょう?
実際に患者が飲んだスポーツ飲料は、通常は乳白色のところ、青緑色に変化しており、水筒の内部には小さな褐色の物質がたくさん付着していました。 検査の結果、残っていたスポーツ飲料から高濃度の銅(880μg/g(ppm))が検出され、水筒の内部に付着していた褐色物質の主成分も銅でした。
スポーツ飲料は、当日朝7時半ごろに粉末を水に溶かして水筒に詰めたもので、実際に飲んだその日の午後2時ごろまでそのまま保管されていました。水筒の内部は、一見して破損している様子はありませんでしたが、再現試験をしたところ、内部に青緑色の液体が溜まりました。水筒の製造元に確認した結果、保温のため水筒の壁は二重構造になっており、通常は飲料に接しない二重構造の一部分に銅を使用していることが判明しました。
この事例の原因は、水筒の内部が破損しており、スポーツ飲料を入れて長時間置いたことにより、破損部分から通常は飲料に接しない二重構造の内部に酸性のスポーツ飲料が染み込み、保温構造に使われていた銅が溶出したためと考えられました。」
東京都の食品安全情報サイトより転載
私には、製品のどの部分に銅が使用されていたのか全く想像つきません。
メーカーも想定しない状況なのだと思います。半日程度スポーツドリンクを入れているだけで高濃度な銅が溶け出したのは事実なのだとすれば銅器を食品に触れるところに使わないという食品衛生法の判断は正しいでしょう。
ステンレス製品も表面に様々な加工やコーティングされたものも増えてきています。ステンレス自体は安全性が高く食品に触れる部分に使えるのですが、視覚的に訴求する部分が単調になりがちです。デザインする上ではその点が難しいと感じています。
ステンレスにフッ素加工したモノや鉄に酸化被膜を使ったものを製品化してきましたが、いよいよ王道のステンレス製品を発表できそう。単純にステンレスと言っても200種類以上あるんですよ。
銅には銅、アルミにはアルミに向いた使い方が有ると思います。メーカーもコストを含めて様々な要素の中で商品を開発しているので時には判断を間違う事も有ります。私のように製造に近い所で活動するデザイナーはモノの在り方に関わる判断もメーカーと共に考えなくてはなりません。
売り場に近い立場から「銅で作ってくれと言われたから」というくらいでは簡単に創れないです。
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