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デザイナーの役割

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昨日に引き続き、こんな事をブログに書く理由は新卒の企業訪問を受けたからです。 今年新しいスタッフを迎え、また、大学から頼まれて企業説明会にも参加しています。 デザイナーを志す若者に希望を与えられたらなぁと感じます。 地方の地場産業では、地域にデザイナーが少ない事を理由に著名なデザイナーに依頼したモノづくりが盛んです。コミュニケーションが不足して結果的に製品は成功しません。 デザイナーに依頼しても、売れないという実績だけが残ります。 マジップ例に説明すると、そもそも三条の商工会議所工業部会で講演する機会を与えてもらえた事がきっかけです。なかなか地元のデザイナーにこのような機会はありません。プリンス工業とのIDSや百年物語の取組みを評価してもらっての事だと思います。 この時にマジップの製造メーカーである永塚製作所の能勢専務と出会いました。 何度か打合せにお邪魔するうちに、会社独自の情報が分かります。永塚製作所は永塚社長が3代目で能勢専務はいわゆる「婿」という立場で全く別の業界から会社に入った事、何と永塚製作所は2代目以降すべて「婿」である事、等です。打合せの時には能勢専務がほぼ社長を同席してもらい私の事をしきりに「先生」と呼ぶ事です。 通常「先生」と呼ばれる事は無いし、まず断るのですが私は能勢専務が目指している姿に私が「先生」である事が必要なのかな?と考えました。 もう、2年くらいの付き合いですが未だに「先生」です。そろそろ勘弁して欲しいです。 永塚製作所は地場産業に良くある、問屋さんに製品を売ってもらうメーカーです。自社で製品を開発したり、仕様を決めたり、価格を決めたりしないメーカーです。こういうメーカーがダメだとは私は一概には思いません。ただ、こういうメーカーが目指さなければならない方向性は分かるし、それが言うほど簡単ではない事も知っています。プリンス工業さんも知りあった当初は有限会社で、担当の現社長は専務だったし、工場もずっと小さかった。 製品を作る事だけでなく、メーカーの売る体制だとか社内の人間関係等「永く売れる製品」を作る為には考慮しなければならない事は沢山あります。 有名なデザイナーのデザインした美しいスタイリング製品が売れない理由は簡単です。 大企業と中小企業の環境が違うという点です。 プリンス工業との

IDSデザインコンペ

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新潟県が91年から毎年行っている「IDSデザインコンペ」。残念ながら知名度が低い。 (IDSのホームページもない、何でだろう?) 富山デザインコンペや和歌山の海南デザインコンペに比べると圧倒的に低い。 せっかくなのだから認知度を高めてセールスプロモーションに役立てる方が良いと思うけれど。 92年に「牛乳パックカッター」(プリンス工業)で初出品、IDS賞をもらいました。 26歳で独立したてのころでした。 これが縁で今日までプリンス工業の製品をデザインさせてもらっています。 以来「IDSデザインコンペ」では何度か 入賞 させていただいてます。 ちょっとした自慢ですが、このコンペで入賞したすべての商品は製品化され今でも販売されています。92年の牛乳パックカッターが最長で20年。まぁ売れているという事でしょう。 工業デザイナーにとって永く製造してもらえるというのはとてもうれしい事です。 製造する(IDSとしては受賞した)メーカーも4社。すべて県内の中小企業です。 当社の FD STORE で取り扱う製品のほとんどは、このIDS デザインコンペに入賞したものです。 もっとも最近は2011年にIDS賞をいただいた「 マジップ MACIP 」。   ローカルTVですが何度か取り上げられ、製造する永塚製作所によるとアマゾンで1日の注文が100本を超える日も珍しくないとか。 ただFD STOREではアマゾンの10%も売れない。 たしかにアマゾンは送料が抑えられ(場合によっては無料)ていますが、FD STOREも送料は全国一律500円だし、他の商品と合わせて5,000円以上になれば送料はサービス。FD STOREでは箱入りで発送しますから父の日ギフトなんかにも使えます。 ともあれ、デザインした商品が売れるのは嬉しい!そして永く生産されてほしい。 FD STORE・マジップ MAGIP 1260円

銀のスプーン

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2012年マンガ大賞でもある「『銀の匙 Silver Spoon」(荒川弘)3巻に銀のスプーンがついていますね。ステンレスにシルバーメッキされたスプーンです。 シルバーの光沢とステンレスの光沢は明らかに違います。全体的に影が黒っぽいのがステンレス「ブラックミラー」等と洋食器屋さんは呼んでいます。 初版限定らしいから欲しい方は急いで本屋さんへ。 銀器はある種の毒に反応するので、ヨーロッパの貴族が使っていたそうですね。 燕三条製と記載された上にMADE IN JAPANと記載されています。燕三条に地域の地場産業がブランド力を持っているという事でしょう。嬉しいです。 私なんかは、レストランでもスプーンの裏の刻印を直ぐ見てしまいます。このスプーンには製造メーカーが記載されていませんでした。 ヨーロッパの貴族は、それぞれの家のオリジナルの食器を持ちテーブルセッティングでゲストを迎えるセレモニーに家柄を表現する重要なアイテムとして洋食器を捉えていたそうです。 日本や東アジアの「箸」の文化とは違いますよね。 おまけのスプーンでしかないけれど、シルバーの輝きは(メッキだけど)美しい。 お茶が美味しくなると思います。 シルバーの輝きを維持するにはメンテが必要だけど、せっかくだから使ってみて欲しいな。