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7月, 2012の投稿を表示しています

デザインした商品を売るという事

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プロダクトデザイナーって何をしているのか伝えにくい。 fdstoreは、私達がデザインし、燕三条のメーカーで製造しそれを協力して売るというプロジェクト。こう言ってしまうと簡単そうだけど、普通は販売サイドや問屋が企画してメーカーに指示しそこから依頼を受けデザインして製品化するという仕事の方が多いのです。少なくとも10年くらい前まではそれが普通。現在は地元のメーカーよりも海外で調達する事が多くなり、もっと言えば大手販売店が独自ブランドで海外から調達してくることが普通になった。 このプロジェクトは、その流れにデザイナーやメーカーが自ら声を上げアピールしようという当り前のプロジェクト。でもこの当たり前が難しいのです。開発費をどうするか、製造ロットをどう考えるか、製品価格をどう設定するか。この当り前のことを以前のシステムではメーカーがやってこなかったのです。 私のようなデザイナーも同様です。自分が本当に良いかというよりも開発費を負担する「クライアント」の意見でデザインする様なところがありました。 そう言った流れを変えてみようというのがこのプロジェクトで、出来るだけ自分の考えを理解してもらえる販売先を探して商品を置いてもらっています。3年くらい前からです。 地元の新潟市でも何件かのお店に持ち込んでお願いしてみました。残念ながら取り扱っていただけるお店はありませんでした。私が感じたのは多分仕入れが個別ではなく、問屋さんのパッケージなのかなという事です。単価的にも地方都市では難しいかもと感じていました。 でも最近、少しづつ雰囲気が変わってきたと感じていました 1年くらい前にとある場所で知り合った、 ヒッコリースリートラベラーズ の迫さんに取り扱いをお願いしたところ快く引き受けていただきました。 ヒッコリーさんのある古町でのイベントに参加させていただいた時も、良い商品であれば地域に関係なく受け入れていただけるコトを感時る事が出来ました。自分達がデザインして商品化し売るという事が職業としてのプロダクトデザイナーを分かりやすく伝える方法の一つになるとも感じました。 今まで3年かかりましたが、この間黙々と準備をして少しづつ前に進めていたくれたスタッフに感謝しています。 fdstore の認知度も少しづつ上がり、 Facebook

プロダクトデザイナーとして出来る事

もう、20年以上デザインをしてきたけど振り替えてみると残っていない商品も多い。   むしろ、残って居るモノの方が少ない。   無くなったモノの多くが、誰がデザインしたかとか製造したメーカーが何処かとか表示されないモノが多い。流通の要求で創られた道具がほとんどです。   ビジネスであるからそんな仕事も沢山してきた。   生産地が国内から海外へ変わってもそういう仕事は今でも無くなってはいない。 ただ、私自身が疑問に感じている。   自動車や情報通信機器、家電といったグローバルに競争する製品は仕方ないと思うけど、燕や三条のいわゆる地場産業で製造される道具は違うのでんないかという事。   食文化は国の歴史そのもので有り、ハウスウエアに分類される道具は消耗品を除いて、コストの低い所で大量生産しコンテナで輸入するモノでは無いと思います。   家族の幸せは家族で囲む食卓そのもの。少しづつその方向へ変わってきているのでは無いでしょうか?    気に入った道具を、最小限揃え長く使う。少しづつ買い足して行く。   結婚して2人で食事やお酒を楽しみ、そのうち家族が増え、その日何が有ったか、食卓を囲み自然に会話し思い出を重ねて行く。   そういったシーンに使われる道具をデザインしメーカーと製造する。自分達でプロモーションして売り続けるプロジェクトがfdstorです。   ドンドンデザインするのではなく、ドンドン作るのでもなく、背伸びしないで自分達で売り続けるのがfdstorの製品です。   価格も少量ロットでの生産なので安くはないですが、気に入って頂ける方には決して高く無い価格出あると考えています。   少しづつ理解していただける売り場を増やしていますが、まだまだ限られた売り場しか持っていません。   でも、私達は真剣です。   もう3年くらい立ちますが、少しづつメディアに取り上げて頂き、海外からも取り扱いをいただける様になってきました。   Facebookを通じてstoreで購入頂いたお客様から気に入って頂けた時などは感激です。   最小限のモノをデザインしクラフト的な丁寧な販売方法を採って自分達の名前で売る、これこそがfdのデザインだと胸を張って言える。   サイトではまだまだ充分に伝えられないけど、ブログやF

fdstore の考え方

知合いの方から「工業デザイナーブログ」見てますよ!言われたので更新してみます。 やっぱり反応が無いとね。 デザインしたモノを売る fdstore というウェブショップをやっています。 何度か書いていると思うけど、最近益々コンセプトがはっきり見えてきました。 デザイナーと言うと資本主義の中で他の商品との差別化を計ったり、スタイリングの変更で買う気にさせると言った役割を担う事も多いです。でも、それには限界を感じていました。 そんな時、ムヒカ大統領の リオ会議でのスピーチ の内容を知り衝撃的を受けました。 デザイナーとしてマーケットをコントロールするする必要性を強く感じ自分にも何かできるのではないかと考えます。 自由競争にただ身を任せていれば、より安く大量に生産し消費意欲をあおる事を考えなければなりません。でも、それが本当に私達を幸福にしてくれるのでしょうか。 私のように産地のメーカーと近いところでデザインしていると、優れたデザインの商品(スタイリングだけに限定していません)をメーカーと開発して、採算の合う製造方法で工業製品としては中量(クラフトみたいな一品生産品と区別するためあえて中量生産とします。)生産で消費者の近い所(理解していただける店舗)を通じて売る事がこのマーケットのコントロールにつながるのではないかと思うようになりました。 幸いにして新潟県燕市、三条市は金属金物の産地であり、優れた技術集積があります。 ここで作られる製品は、携帯電話のように性能が進歩していく速度早く、直ぐに型落ちになるわけでなく、商品としては成熟した商品群です。 価格は他の商品と比べて少し高く感じるかもしれません。でも、この価格は企業努力を怠っているわけではなく、国内の製造メーカーで製造し、生産ロットを最小で考え、必要なパッケージや説明書添付し、理解し取り扱ってくれる販売店を通じて永く販売していく為の最小の価格なのです。 ユーザーの声も少し載せてあります。 FaceBook fdstore FaceBook FD.Inc 良かったらご覧ください。

デザインをするという事

モノを作り出すという事は神に近いことだ。 「旧約聖書」の創世記には、神が天地創造をする場面で、最後に人間をつくったとされる。 自らをかたどって。 地上に住む生きもので、デザインするのは人間だけだろうか。 きっとそうだ。 デザインする行為は孤独でつらい。 人の為に、他人を満足させるためにする創作だから。 自分のモノを創るならむしろ簡単で楽しい。 自分の好きなモノだけ創って生きられるようになろう。 でもそれはもうデザインじゃないな。

魚焼きグリルターナー

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キッチンのコンロについている魚焼き。 結構、魚が網にくっついてしまって取りにくく、無理に取ろうとすると身が崩れたりしますよね。 そんな時に使える「グリルターナー」のデザインをしました。   魚焼きグリルの網は、メーカーによる差だけでなく製品種類毎に違うようです。 かなりの数のグリルを計りましたがかなりばらつきがありました。 結果出来たのがこれです。 ナイロンにガラス繊維で強化した樹脂を使っています。   このガラス繊維、当然成型の際に樹脂と一緒に金型に流し込みますが成型機のノズルやスクリューを摩耗させるといった理由で成型屋さんは嫌がったりします。 また、金型の予熱が十分でないとガラス繊維が表面に浮き出てしまいウエルドと呼ばれる材料の流れが目立ってしまいます。今回の商品は良く出来ました。強化されているのでしっかりとした質感でなかなか良く出来ました。カラフルな色も試したのですが、品質保証部から熱が掛った時の変色を理由に「黒」のみとなりました。  

エフディーストア/fdstoreという考え方

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相変わらず日本の製造業が厳しい。 円高が続く現在、パナソニックやソニーが国内生産の縮小を発表している。 私のような地方で地場産業をクライアントにデザイン事務所をしてるところはどうかと言えば、それ程悪くはない。  私が目指しているのは100%生産者が分かる、中量生産のモノづくり。 クラフトのような少量生産でも無く、大量生産でも無い。優れたデザインと適当に効率良い生産方法で、永く製造し続ける製品それが理想です。 多分、パナソニックやソニーの製品は売れようが売れまいが一定期間生産したら終わり。その間に初期投資を回収しなくてはならない。 私達のストアが扱う製品は、売れようが売れまいが永く製造します。 もちろん、売れる方が良いに決まってるけど、安易に流通価格を下げて無理に売ろうとはしない。 それがエフディーストアの製品です。新潟県内複数のメーカーとの信頼関係で進めているプロジェクト、それがエフディーストア/fdstoreです。 考えて見てください。 無理に売ろうとすれば価格訴求力が必要となり、製品は粗悪に。それでも最も利益を追求すれば海外の安い労働力をアンフェアトレードで確保するわけですよね。市場を刺激するために製品寿命を縮め開発費用も圧縮しなくてはならなくなる。 金型費用やデザイン料と言った初期費用が掛かっても、長期で売り続けて行けば良いと考えるだけで、良い製品を適正な価格で売ることができる。 それを実践するのがfd storeなのです。賛同してくれるメーカーと小売店をつなぐのも私達の仕事です。良かったらエフディーストアも覗いて見てください。   fd store  www.fdn.co.jp/store