「伝える」事の重要性。

自慢にもなりませんが、23年も工業デザイナーをやってきました。務めていた時を足せばもっと伸びますが。

8年くらい前からFD STYLEという名前の製品プロデュースプロジェクトを行い、試行錯誤をしながら今日、少しではあるけれども認知されてきた。

中でもこの2年の広がり方は自分でも驚く。

何が違うかというと2年前に入社した加藤歩美というグラフィックデザイナーの影響が大きいと思っている。

工業デザイナーはメーカーに近くて「良いものをつくれば分かる」という風に考えがち。少なくとも私はそうだ。本当に良いものなら手にしてもらったり、使ってもらえば分かってもらえると。

でも、そんな事が少ないのが日本やアジアの市場だと感じている。ヨーロッパやもしかしたら違う文化圏では異質に感じる部分からか説明が少なくても伝わる部分が多いと感じているし、実際私達の製品も2010年にはヨーロッパで色々取り上げてもらった。

今や市場にはモノが溢れ、どれもちゃんとデザインされ、仮に海外製であっても品質の高いものも多くなっている。

新潟に住んでいるので、よく米に例えるのだけれど、米粒をみて違いが分かるかと言ったらプロはともかく一般の人にはわからない。ご飯になっても絶対にわかるか?と考えると、炊き方や様々な要素が加わり少なくとも私には分からないかもしれない。

「魚沼産コシヒカリ」見たいな「ブランド米」が流行った時も有る、今でもブランドとしては有ると思うが、ネットの浸透も有り、誰がどの様に作っているという細かな情報が伝えられるようになると、「ブランド」には陰りが見られ、本当の情報が直接伝える事で支持してもらうお米が本物として受け入れられてきている。その為に田植えや稲刈りといった作業に参加できる機会を設けたりしている人も多いし、それ以上にそうした事を上手に伝えている。

今回の湯たんぽはカバーにそのエネルギーの多くを注ぎ、加藤が担当してデザインされた。正直いって糸を使った製品のデザインが初めてだったし「織」と「編」を意識したのも、カバーをつくってもらったフォルツさんの工場を見せてもらってからでした。

この2年で多くの人に知ってもらえたFD STYLEは、ヴィジュアルを通じたイメージと的確に整理された情報が奇麗に表現されていたからだろうとあらためて感じています。

伝える技術に「質」が有り確実に成果につながるという体験ができたのもFD STYLEというプロジェクトの成果だと感じています。


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