「鉄フライパン専用吊下げフック」を発売します。

FD STYLE 鉄フライパンにはフック穴がありません。それは、フライパンのフック穴は売場で陳列の為にあるのではないか?と考えたからです。キッチンツールも同様ですが、他社の同じ目的の道具を吊るして並べる売場に置かれなくていいやと考えました。その為にキッチンツールは黒い箱に入れています。

多くお売場で「並べて比較」すると言っても比較のポイントは見た目と価格でしかなく、使い勝手の違いや製品の背景ではありません。一つ一つの製品の特長を伝えてくれる売り場に並べてもらうためにあえてフックを無くしました。

木製ハンドルの場合、穴をあけてもS字フックにはかけにくかったり、ハンドルに別のフックをつけても持ちづらくなったり邪魔になったりもします。無い方が潔しと考えました。機能を「省く」ことはデザインに重要な事です。

実際に販売していると「フックに掛けられるようにして欲しい」というお客様もいらっしゃいます。そのような声を聴くたびに、初めの頃はハンドル形状を変更して穴をあけたり、細いワイヤーのフックをつけようか?とも考えました。ただ、すでに購入してもらったお客様に申し訳ない。ならば美しく吊るせるフックを作ればいいやと。

このフックは2016年頃には完成しています。しかし販売に至りませんでした。何故なら工場が作ってくれないからです。きっと「商品として販売すできる値段にならないだろう」と考えてるのでしょう。

私たちは2019年から自社の製品を扱う店舗(FD STORE)を運営しています。以前に比べ直接お客様と接する機会が増えて、工場のように作れる人が想像する価値と作れないけれど欲しい人の価値の相違を感じてきました。作家やアーティストの作品がそうです。自分も作りたいから作ろうと。

私たちはただ必要とする人に応えたいと思う。使い方はフライパンのハンドルの部分を斜めに通してひっかけるだけです。吊下げた状態では外れることもなく、たて方向に省スペース、うちのフライパンを複数使用する限られた人(ありがとうございます!)はさらに省スペースに収納できます。吊下げる場所によって縦にも横にも収納することが出来ます。ハンドル金具と同様にステンレス製(18-8)で表面をブラスト加工によりマットに仕上げています。定価は990円(税込み)。

フライパンに関して「カバーは無いのか」との声も発売当初からいただいています。これもあきらめてはいません。

私達だけではなく多くのデザイナーが沢山のアイデアを持ちながら世に問うことが無い状況もあるでしょう。私たちの場合は産地があり多くの工場があります。その中の奇特な工場の方の力を貸してもらえるかもしれません。時には全国から力を貸して下さる方もいらっしゃる場合もあります。

ものづくりはとても楽しいです。

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