第5回国際デザイン学会連合国際会議にMAGIPが展示されました。

芝浦工業大学豊洲キャンパスで開催された第5回国際デザイン学会連合国際会議のグッドデザイン賞展示約40点にゴミ拾いトングMAGIPが選ばれ展示していただきました。


国際デザイン学会連合は2005年に設立された研究団体連合で、世界の主要なデザイン研究団体である、日本デザイン学会(JSSD)、韓国デザイン学会(KSDS)、台湾デザイン学会(CID)、デザイン研究学会(DRS:イギリス)、設計工学会(DS:イギリス)を傘下に置く組織だそうです。

展示していただけるのは光栄です。そもそも、この商品を最初に相談された時は補助金の申請したら「ゴミを拾うだけのトングに市場性は少ない」と言われました。というところからでした。

私自身以前に出品した地元のデザインコンペで「ご飯がくっつかないだけのしゃもじに市場性は無い。」と言われ商品化を見送ったところ1年後に他社からくっつかないしゃもじが市販され大ヒット!という経験を思い出しました。


まぁ、当事者以上に審査担当者が思慮深く考えられるはず無いから、自分の信念を通す事も必要なんですよね。デザインを造形を考える仕事と思っている人が多いですが、工業デザインの場合は違います。製品を開発する際の問題になる事を解決する様々な手段を講じる事が工業デザインです。

製造上はもちろん、使われる環境や流通といったデザイナーと関係なさそうな事にもかかわり、製造者と共に問題を解決するあらゆる手段を尽くすことが工業デザインです。この製品を開発しているときは、社内のスタッフでさえクレームもあり、身近なスタッフですらデザイナーの仕事を理解出来ていないのだなぁとがっかりもしました。商業デザイン(グラフィックデザイン)との違いだと感じていますが、やる事自体は似ているし、内容によってはクロスオーバーしていると思いますが、モノを生み出す根本にどの様にかかわるか、その時の考え方の違いだと思います。


しかし、完成した製品から伝わりにくいものだし、自分の取り組みが工業デザイナーとしてどう評価されるものかと考えていました。GOOD DESIGNのBEST100のプレゼンテーションを通じて自分のやってきた事が普通に工業デザイナーとして極めて当り前の事だと感じる事が出来ました。

地方ではクライアントの以来の形を絵や図にする事が工業デザインと認識されています。そのような環境ではデザイナーは育たず、デザイナー自身も安易な方向で考えてしまいます。新潟では変ったように映る私の活動もGOOD DESIGNでは普通の事だし、モノづくりデザイン賞をいただけたので大きく間違ったことではないと感じることもできました。


昨今のクラフトブームも私には疑問です。自分で作るのは最も簡単で確実な方法でしょう。しかし、モノに囚われず、背景を整え周りを説得し、世の中に広くプレゼンテーションすることで社会に影響を与えるコトを生み出すモノをデザインする事が大切だと思います。

ゴミ拾いトングMAGIPは従来の主な売り場であるホームセンターをあえて避けることで新しい市場を作りつつあります。ゴミ拾い等の清掃用品を売ろうと考えたときに簡単にホームセンターと考えるのではなく、どの様に使われたいのか考えることが大切なのです。売ってくれる場所を優先的に考えるのでは無く、使ってくれる人や場所を考えて物を作るという当り前のことをしています。


最近は経済産業省の方と名刺交換する機会も増え、国を挙げてデザインの活用を模索している感じは強くします。この展示も皇太子殿下に視察いただけたそうです。私達がこの製品を使っていただきたい自治体や環境NPO団体に認知してもらうためには、この様な機会が重要で、あらゆる手段を使いメーカーと協力して市場を市場を作り出しことが工業デザイナーの仕事だと考えています。

縁あって、製造メーカーの(有)永塚製作所とデザインに取り組んでから約3年、市場をどうのように捉えてモノを作るか良く考えない時代になりました。新しいものを作るという事は場合によっては悪にもなる、常に自分に言い聞かせています。


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