ヘラ絞り

ブログ上では翌日となるコーヒーミルの話を書いていて思いました。
デザイナーという仕事を私の場合はオシャレだったりカッコよいものと考えていなくて、このように作られるべきという方向でやっています。考えて考えて考える仕事。

考えるためには知識と経験が必要です。そういう場面は公開できません。
コーヒーミルのところで考える為のもと。
思い切って載せてみますがクレームが有れば削除しますね。

燕三条ではこの時期、ビールタンブラーが売れます。

磨き屋シンジケートに代表される内面の研磨によって泡立ちを良くしたり、セブンセブンに代表されるSUS galleryの真空2層で冷たさキープできるものが人気です。真似たものも沢山あります。

真似たものを作りたくないので新しいコンセプトの製品を作っています。
普通形状を変えたりする事をデザインだと思っている人が多いですが、それだと真似でしかないですよね。材質が違うとか表面処理が違うとかいう人がいますがコンセプトが同じなら真似でしかないし、スタイリングも例えばビールタンブラーである以上そんなに違わない。

FD STOREにフライパンのスピニング加工を載せていますが(私の場合ヘラは手で人が持って櫓をこぐような奴と区別するために使い分けています)動画載せていますが、あれは鉄なので比較的簡単にできています。スピニングだけで成型するとすごく加工時間がかかります。


加工している製品のフランジ(お皿のように見えてる部分)に注目してください。その部分も駒が当たって材料を寄せています。ステンレスの場合鉄よりは遥かに固いので速度もゆっくりです。

スピン加工の前に内側の底になる場所にプレスします。


底の形状になる部分以外をスピン加工します。で、できる形がこれ。


出来たもの(写真右)を中央の型で加工します。断面形状でいうとM字型の形状になります。
そのようにして作るのが来れ。


3タイプあってこれは中間のもので、上の写真は一番大きいもの。真横から見ると


この、円柱形上の上下を絞って奇麗なグラス形状になります。大きいサイズも同様でイメージして欲しいのですが内側のカップはワイングラスのような形になるんです。


失敗してまーす。

私達のように人のまねをしないってことは、こういうリスクを取る事です。誰もやっていないからやる事に価値があるのです。しかも、失敗のままでは終われないし、商品にして売って、買っていただいた人に気に入って使ってもらって、そういうサイクルを繋げていく事が私の仕事です。

最初のスピン加工のフランジの材料の動き、これがインスピレーションを生むのです。材料は今どんな感じか?温度はどれくらいか?イメージ出来ないとデザイン提案できないですよね。人のやったことの後追いしかできない、スタイリングを変えるだけのデザインしかできません。
自分で売ったこともなければカッコいいけど売れないデザインしかできないのと同じですね。

学校でデザイン学んでる学生も学校で習ってることに疑問を持った方が良いです。友達以外に学べていますか?本当の経験している人が教えてくれていますか?

写真の製品が茶色っぽくなっているのは汚れではなく熱による変色、いわゆるテンパーカラーですね。

商品になるまではまだまだ時間がかかります。工業デザイナーというのは新しいものを生み出すためのリスクを下げる知識と新しいものを生み出す経験に基づいた勇気が必要です。

現在うちの事務所でインターンシップを募集しています。
良かったらどうぞ。

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