2013新製品「tongs」

先日のギフトショーで発表した「fongs」。燕市にある田辺金具さんで製造してもらいます。

デザイナーとして限界があることは承知しているが、買換えを促進する製品開発は出来るだけ避けたい。特に企画から販売まで携わる製品はそう感じています。

今回、想定したのは結婚。なんで結婚するんだろう?

一緒にご飯を食べながら、その日起こった事を話す。時にはちょっと贅沢な食材とお酒と一緒に。そんな時間を過ごしたくて結婚するんだろう。ちょっと大きめのお皿に盛りつけ、人数分取り分ける。もちろんそれだけではないけど、当たり前に食卓を囲むのが家庭のイメージで結婚したい理由のかなと考え、そんなシーンで似合うトングを作ろうとデザインしたのがこれ。

それぞれちょっとした仕掛けや工夫が有るのだけど、それは説明しない。
使いながら気付いて欲しい。

使い方を押し付けない、そういう道具で良いと思ってます。何度説明しても理解してもらえない人もいる。私のデザインする道具は、すべて「こう使え」という道具ではありません。でも使いながら感じてもらえる工夫をしています。道具は目的に非ず。


これが全部トングの材料。田辺金具さんはトングに特化したメーカーです。いわゆるOEMメーカーですので知らない人の方が多いでしょう。


特徴は圧延と呼ばれる加工。ローラーの間を何度も通すことで、ステンレスの厚みを変えます。厚さが変わるのと同時に組織も変わるので金属の特性も変わります。いわゆる「鍛えられる」感じでしょうか。


この様に1本1本職人さんが何度も何度もローラーの間を通すことで、トングのバネの部分や先端の部分の厚さを伸ばして薄くするのです。

圧延によって重量も変わるし、ヘッドの重さとバネの強さのバランスが悪いとしっくり来ません。

もちろん圧延だけでなく、プレスや研磨工程が有って製品になります。

私たちはデザイン事務所ですが、燕三条の様々な製造メーカーの特徴を生かしたものづくりを行っています。それを特徴として使っていただく方に伝えて行きたい。そんな思いで販売を手掛けています。早く沢山売るのではなく、ゆっくりと永く売りたいのです。気に入ってもらってから実際に買っていただけるまでの時間がどんなに長くかかっても有り続ける。そんな販売方針です。

このトングも3月発売に向けて準備中です。





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