「燕三条」の工場へ行きました。

「工場へ行きました」とタイトルに書きましたが、私のクライアントの多くは工場なので特別な事ではありません。まぁデザイン業務中に、たまには写真撮らせてもらおうという事です。今年の百年物語でフライパンを発表していますがその製造工場での写真です。製造の様子を撮らせてくださいとお願いしたら快く撮らせてくれました。


スピニング加工は陶器のロクロに似ていると思います。丸く切った鉄板を押し付け高速回転、伸ばしながら形にしていきます。
 
 
写真中央に見えるヘラのようなものに押し付けるように鉄板を伸ばしていく感じです。上下の写真と比べると分かりやすいでしょう。
 
 
写真は26センチの深型「イタメ鍋」の本体。型になるまで約20秒程度でしょうか?機械に挟まれた底になる部分は材料の鉄板の厚さが有りますが、のばされた部分は少し薄くなります。鍋で考えると熱の伝わる部分が最も厚さが有り、外周の部分が少し薄くなります。フライパンで考えると理にかなった加工方法だと思います。

「一個一個手作りしています」とうたったフライパンもあります。製品として見た時にどうだろう?と考えます。デザイナーという立場で考えると製品一個一個が違うというのはクラフトではあっても、プロダクトとはいえません。安定して量産できる加工法を選択するのも、またその加工方法を理解した上で造形するのがプロダクトデザイナーだと思います。
 


毎日使うものだからこそ、安定した製品を良い製品を使い手に届けたいと思っています。機械を使っているからといって一人の職人が一個一個丁寧に機械にセットアップし、操作し目で出来上がりを確認する工程は手作りとうたっている製品と変わりません。手にするのがハンマーなのか、プレス機なのかスピニング加工機なのかは「手段」であって、良い製品を一人の職人が責任を持って作っているのかが「目的」であると考えています。
 
燕三条エリアでは同様の工場は沢山ありました。最近では確実に少なくなってきています。製品の良さを伝える事はメーカーだけでなく、私達「産地で活動するデザイナー」の役割でもあると考えます。
 
 
こうやって出来たのが「百年物語フライパン」

 

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