モデル造形について
プロダクトデザインの総合webマガジンpdwebにおいてモデル造形の可能性という記事を読みました。(下部にリンクが有ります)
新潟でのモデル制作事情について少し書いてみたいと思います。
プロダクトデザインにはモデルがつきものです。頭でイメージしたものを具現化し検証する事でデザインはよりレベルの高いものになります。学生の時はウレタンフームを削ってモックアップを作りました。デザイナーになり初め頃は木型屋さんにモデルをお願いしていました。この木型屋さんは、本来は鋳造のマスターモデルを作ったり治具を作る職人です。笑い話ですが、表裏を間違って送ったA3サイズの図面(裏写りがかろうじて読めB4縮小された)から見事に縮小されたモデルを作る技術(数字が読めないけど外形線で何となくカタチが伝わった)をもった正に職人です。催促され作り始めたりするので「図面見れません」とも言えずこのような事が起ります。納期がかなりアバウトですし、新人の不正確な図面からでも本人の意図とは違ったすばらしいカタチにアレンジしてしまたりする時も有ります。
製図がドラフターからCADへ移り、デザインの環境が変わるうちに木型屋さんではなくモデル屋へと外注先が変わっていきました。モデル屋さんはプラスチック、主にABSやアクリルやPCやPOMをNCで切削したり、エラストマ樹脂やシリコンゴムを注型によりリアルなモデルを正確に作ります。ただし、新潟のモデル屋さんは例えばABSの切削モデルなら削ってカタチにするまでです。以前にゲーム機のコントローラのようなものを作ってもらいました。機能モデル(実物同様に稼働)20セットくらい作ったのですが、塗装は塗装屋さんへ、シルク印刷はシルク屋さんをそれぞれ手配しなくてはなりません。コントローラーのボタンの印刷が中心から若干ずれてしまい、もう少しでやり直し(この場合塗装屋へ戻るかモデル屋へ戻る、費用は?)なるところでした。多分首都圏のモデル屋さんではこのような事はないでしょう。完成までモデル屋さんの仕事だと思います。普段はシルク印刷も難しいのでクロマティックというインレタ(インスタントレタリング)を作ってもらい仕上げていました。(この場合知り合いのグラフィックデザイン事務所へ依頼)おかげで、苦労した分色々な知識が増え勉強になりました。
時は変わって現在では3dプリンターが急速に普及してきました。pdwebの記事にあるような事は新潟でもほぼ(まぁこの辺も幅を持たせて想像ください)共感できる状況です。機械の普及は地域差を少し埋めてきているようにさえ感じます。
現在私の場合、3dデータを支給して切削(&溶着)のリアルなモデルがいちばん多いでしょう。納期の制約がなければこれを選びます。塗装はモデル屋さんでお願いする事も有りますが、塗装屋さんに細かい色指定をして頼みます。パーティングでないし本物以上に作り込む事が可能です。透明(削りだして鏡面研磨)やラバー系の素材と組み合わせたりできます。ただし、エラストマやシリコンの色に限りが有りこの辺は新潟だからでしょう。納期に2週間はかかります。
私が現在取り組んでるのが、デザイナーが制作したデータをモデル屋さんで検証し、金型屋で金型に必要な抜き勾配や収縮率を加えるといった情報の共有化とも言えるシステムを構築する事で、金型費用を下げる事が出来れば国内産地とってメリットが大きいと考えての事です。デザイナーが3dで設計する際に考慮した情報が正確に金型設計に共有される事で、各工程の設計要素に一貫性が生まれと考えています。
次は機能モデル用3dプリンター(Dimension)ABSに近い質感ですが出力時の方向性が目立ちます。方向を間違えると機能検証には使えません。納期は3、4日程度でしょうか。機械内部のコネクター等少量生産のパーツの一部として利用する事も有ります。
それ以外はイメージ確認用のZプリンター450、着色できますが質感は砂糖菓子のようで機能確認には向きません。pdwebの記事とこの機械に関しては見解が違います。推測ですが仕上げにつけているワックス等が違うのかもしれません。リアルなモデルとはなりません。確かに重量感は有るかもしれません。内部に機構を組み込んで検証するといった用途にも向きません。
うちの事務所の切削機(MDX40)で作る事も有ります。ウレタンフォームでのモックに向いています。入手しやすいMDFを使うことも有ります。意外に時間がかかり(片手間で作るので)あまり合理的では有りません。私の人件費もそれなりにかかります。(笑)
木型屋さんにお願いする事も有ります。価格的に最も安く作れると思います。納期も1週間くらいと言われます。(この辺が?なのですが)
いずれにしても、コンピュータの普及がデザイナーの仕事に大きな影響を与えたのは事実でしょう。3dでリアルな形状が確認できモデルを補完してきていると思います。それは地域差も確実に小さくなっているようにpdwebの記事を読んで感じました。だからといって地方の産地でデザイン活動するデザイナーが増える訳ではないのが不思議です。
ちなみにpdwebの記事に登場する原 雄司さん/ケイズデザインラボ代表は三条の金型屋さんにいらっしゃった事も有るとか。機会があれば色々聞いてみたいです。
pdwebモデル造形の可能性を考える
新潟でのモデル制作事情について少し書いてみたいと思います。
プロダクトデザインにはモデルがつきものです。頭でイメージしたものを具現化し検証する事でデザインはよりレベルの高いものになります。学生の時はウレタンフームを削ってモックアップを作りました。デザイナーになり初め頃は木型屋さんにモデルをお願いしていました。この木型屋さんは、本来は鋳造のマスターモデルを作ったり治具を作る職人です。笑い話ですが、表裏を間違って送ったA3サイズの図面(裏写りがかろうじて読めB4縮小された)から見事に縮小されたモデルを作る技術(数字が読めないけど外形線で何となくカタチが伝わった)をもった正に職人です。催促され作り始めたりするので「図面見れません」とも言えずこのような事が起ります。納期がかなりアバウトですし、新人の不正確な図面からでも本人の意図とは違ったすばらしいカタチにアレンジしてしまたりする時も有ります。
製図がドラフターからCADへ移り、デザインの環境が変わるうちに木型屋さんではなくモデル屋へと外注先が変わっていきました。モデル屋さんはプラスチック、主にABSやアクリルやPCやPOMをNCで切削したり、エラストマ樹脂やシリコンゴムを注型によりリアルなモデルを正確に作ります。ただし、新潟のモデル屋さんは例えばABSの切削モデルなら削ってカタチにするまでです。以前にゲーム機のコントローラのようなものを作ってもらいました。機能モデル(実物同様に稼働)20セットくらい作ったのですが、塗装は塗装屋さんへ、シルク印刷はシルク屋さんをそれぞれ手配しなくてはなりません。コントローラーのボタンの印刷が中心から若干ずれてしまい、もう少しでやり直し(この場合塗装屋へ戻るかモデル屋へ戻る、費用は?)なるところでした。多分首都圏のモデル屋さんではこのような事はないでしょう。完成までモデル屋さんの仕事だと思います。普段はシルク印刷も難しいのでクロマティックというインレタ(インスタントレタリング)を作ってもらい仕上げていました。(この場合知り合いのグラフィックデザイン事務所へ依頼)おかげで、苦労した分色々な知識が増え勉強になりました。
時は変わって現在では3dプリンターが急速に普及してきました。pdwebの記事にあるような事は新潟でもほぼ(まぁこの辺も幅を持たせて想像ください)共感できる状況です。機械の普及は地域差を少し埋めてきているようにさえ感じます。
現在私の場合、3dデータを支給して切削(&溶着)のリアルなモデルがいちばん多いでしょう。納期の制約がなければこれを選びます。塗装はモデル屋さんでお願いする事も有りますが、塗装屋さんに細かい色指定をして頼みます。パーティングでないし本物以上に作り込む事が可能です。透明(削りだして鏡面研磨)やラバー系の素材と組み合わせたりできます。ただし、エラストマやシリコンの色に限りが有りこの辺は新潟だからでしょう。納期に2週間はかかります。
私が現在取り組んでるのが、デザイナーが制作したデータをモデル屋さんで検証し、金型屋で金型に必要な抜き勾配や収縮率を加えるといった情報の共有化とも言えるシステムを構築する事で、金型費用を下げる事が出来れば国内産地とってメリットが大きいと考えての事です。デザイナーが3dで設計する際に考慮した情報が正確に金型設計に共有される事で、各工程の設計要素に一貫性が生まれと考えています。
次は機能モデル用3dプリンター(Dimension)ABSに近い質感ですが出力時の方向性が目立ちます。方向を間違えると機能検証には使えません。納期は3、4日程度でしょうか。機械内部のコネクター等少量生産のパーツの一部として利用する事も有ります。
それ以外はイメージ確認用のZプリンター450、着色できますが質感は砂糖菓子のようで機能確認には向きません。pdwebの記事とこの機械に関しては見解が違います。推測ですが仕上げにつけているワックス等が違うのかもしれません。リアルなモデルとはなりません。確かに重量感は有るかもしれません。内部に機構を組み込んで検証するといった用途にも向きません。
うちの事務所の切削機(MDX40)で作る事も有ります。ウレタンフォームでのモックに向いています。入手しやすいMDFを使うことも有ります。意外に時間がかかり(片手間で作るので)あまり合理的では有りません。私の人件費もそれなりにかかります。(笑)
木型屋さんにお願いする事も有ります。価格的に最も安く作れると思います。納期も1週間くらいと言われます。(この辺が?なのですが)
いずれにしても、コンピュータの普及がデザイナーの仕事に大きな影響を与えたのは事実でしょう。3dでリアルな形状が確認できモデルを補完してきていると思います。それは地域差も確実に小さくなっているようにpdwebの記事を読んで感じました。だからといって地方の産地でデザイン活動するデザイナーが増える訳ではないのが不思議です。
ちなみにpdwebの記事に登場する原 雄司さん/ケイズデザインラボ代表は三条の金型屋さんにいらっしゃった事も有るとか。機会があれば色々聞いてみたいです。
pdwebモデル造形の可能性を考える
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