ふたたび湯たんぽについて。

トングが発売されてもう一つこの夏準備しているのが湯たんぽです。


この湯たんぽは、FD STYLEの鉄フライパンやコーヒーポットをつくってもらっているツバメテックさんで作ってもらっています。ツバメテックさんは燕市にあり、ステンレスや鉄の器物や炊飯ジャーの内釜なんかをつくっています。いわゆる深絞りやぐるっと輪のように加工する製品が得意です。
ステンレスを扱いながらも鉄の加工もしてくれます。


左から2人目の神子島会長と3人目が神子島社長。特に会長に引き出しが多いので色々教えてもらっています。この、会長から小さな(165cm/直径)の湯たんぽが有るのだけど売ってくれないかと依頼を受け、昨年から準備してきました。


それが、この湯たんぽです。もちろんFD仕様に改良してもらっています。今年の冬1シーズン色々使てみて「意外と良い」と感じました。どこがというとコンパクトなのにちゃんと実用になる所です。普通に布団で使って朝まで暖かさをキープできました。(もちろんぬるくはなりますが)
ちゃんと湯たんぽとして使えるって事は、コンパクトな本体だから例えばスポーツ観戦や会社だったりに持っていけるのではないかと考えました。

その上で、外に持ち出せるようなデザイン性に優れたカバーをデザインすれば良いと考えました。いろいろ調べると、例えばエフスタイルさんなんかも湯たんぽカバー作ってるし、無印なんかにも湯たんぽカバーは有って、でも湯たんぽとカバーをちゃんとデザインしてる製品って無いと思いました。つまり、湯たんぽという極めて工業製品的なものと、カバーの様な縫製品は一緒には考えられていないという事です。

湯たんぽは金型の投資や製造ロットなどの制約があるので、①大量生産した安価なものに丁寧に作られたカバーを付けるか、②丁寧に作った湯たんぽにおまけ程度のカバーを付けたもの、しかありません。

ちょうどそのころ、FD STYLEの手拭いをお願いしている藤岡染工場さんへ遊びに行って藤岡専務と話しているときに藤岡さんが最近開発している日東紡さんの話になり「FDさんでもキッチン関連で布巾の生地使えませんか?」と言われました。日東紡さんは昔から布巾(赤いふちどりした)を製造していて知られています。私が「布巾と言えば手ぬぐいのライバルじゃないですか!」と専務にいうと「まぁ同じ新潟なのでコラボレーションです。」とのこと。この時調べたのですが、確かに手ぬぐいは布巾(やタオル)の普及で使用範囲が狭くなりました。材料は同じ綿糸ですが「織」と「編」の違いで布の伸びや厚みといった点で手ぬぐいよりもタオルの方が普及したわけです。

改めて考えると新潟県には燕三条の金属加工の他、十日町や小地谷の織物、五泉や見附や栃尾の編物(ニット)という地場産業が有りました。GFGSさんのある加茂もニットの産地でありそれがベースになっているのです。

今年に3月20日に第二回の新潟ロビーを開催しました。その際に五泉のニットメーカーフォルツさんと知り合いました。さっそくフォルツさんへ連絡して工場を見せてもらいました。

五泉市は合併により新潟市と隣接していて、事務所からは車で40分くらい、三条へ行くのと同じくらいの距離感です。


案内してくれたのは新潟ロビーにも参加してくれた斉藤専務。

話を聞くと、五泉は国内のニット産地の中でも高級ニットの産地として知られてきたそうです。東京などのアパレルメーカーの指示で製造してきたのでほとんど最終製品を持っているメーカーは無いそうです。この辺は、燕三条と同様です。違いがあるとすれば、アパレルブランドというファッション業界特有のシステム。例えば、良い商品を提供してもブランド力が無ければ売る事が困難という事情がキッチン用品と違うところでしょうか。幸いなことにキッチン用品はブランド力と言っても絶対的なものが有りません。それだけデザイナーの出番も少ないという事ですが。高級ニット産地だったために扱ってきた糸がウールでそれゆえ夏場に売れる製品が少ないとの事でした。


フォルツさんは雑貨分野であれば、既存顧客とバッティングしないし協力してくれる事になりました。日東紡さんからも綿糸の営業が有り綿糸を使っての編みにも問題が無い事が分かりました。
編みと縫製についてはフォルツさんにお願いする事にして、日東紡さんへもお願いへ行きました。

日東紡新潟工場は新潟市の東側、沼垂(ぬったり)という場所にあります。この沼垂周辺は新潟市にあっても独特の場所です。新潟市は中央に信濃川が流れていて日本海に注いでいます。良くも悪くも信濃川によって街が作られて来ました。全国の県庁所在地でも城が無かった(つまり明治維新前に殿様がいなかった)場所は新潟市だけです。

この信濃川は今では全水量の1/5ですがそれでも街を2分していて、その昔全水量が注いでいた時は対岸が見えない(大げさですが)ほどだったそうです。この水量のおかげで天然の良港として物流拠点として新潟市は発展してきました。

日東紡さんが新潟市に工場をつくったのもこの港のあったからでしょう。

永い間、信濃川の西側が新潟市の中心であり東側は新潟駅は有るものの中心地ではありませんでした。沼垂という場所はその東側の中心的な場所で、ごく最近は少しづつ新しい動きが出てきているものの、全体的には古い街といった場所です。



古くて大きな敷地の工場です。富岡製糸工場が注目されていますが、日東紡新潟工場もレンガ造り(の上からモルタルを塗った)歴史を感じる建物です。


原料の綿はアメリカとオーストラリアから輸入され、季節ごと産地ごとに分けて管理されています。良い品質の糸を作る為に偏りをなくして綱に安定した糸をつくる、きわめて工業製品です。日本の近代化における工業製品の中では製糸業はあらゆる産業のベースになっていて見学させてもらっていてとても参考になりました。


実は日東紡さんは写真の一切NGです。掲載した写真は日東紡さんから提供してもらったものです。実際に見学すると、その空気感というか独特の雰囲気のある工場でした。

もっと説明したいことは沢山あるのですが、今回はここまで。


そして、今回初公開するのが製品版の湯たんぽです。五泉という地域を伝えたくて、綿糸を使ったまるでウール製品の様な縄編みのカバーをつくってもらいました。


基本はステンレスのサテン仕様、キャップは研磨による鏡面仕上げ。カバーは超長綿の「落ち綿」を使いました。糸も編みももちろん本体の絞りもオール新潟製造です。限定で黒も用意します。
もっとも白も限定生産です。今回は複数の工場とのコラボレーションなので製造数が極めて少ない(300個予定)なのです。ロゴやパッケージも新しいデザインのFD STYLEになる予定です。

地場産業の産地間コラボレーションをうちの様な小さな事務所が実現するって奇跡的な事ではないでしょうか。

取扱い店の皆様、是非よろしくお願いします。

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