雪国新潟でデザインされた、冬を楽しむ道具「湯たんぽ」

もう一つ、こちらも開発中の製品「湯たんぽ」です。

これも昨年から注目して準備してきました。

燕三条で「湯たんぽ」というと正に金属の湯たんぽ本体を指します。湯たんぽは寝る時に布団の中で活躍するもので、適当なカバーに入れてタオルでくるんだりして使うからなのでしょう。

逆に言えば、電気毛布など普及した現代においてあまり重要なものではなくなってるかもしれません。


私はコンパクトな湯たんぽを外で使う事を提案したいと思います。OLの方で職場が寒いとか、自動車の後部座席で寒い思いをしてませんか?スポーツ観戦だったり冬の公園でだったり寒いところで使える湯たんぽが有っても良いのではないかと思います。


小さな子供のいる方にも安心して使っていただけるオシャレな湯たんぽが作れないかと考えました。考えました、というよりも製造しているツバメテックというメーカーの会長が「大きいサイズはOEMしてるんだけど、この小さいサイズの湯たんぽを売ってくれないか?」と相談されました。


湯たんぽ自体は数年前から燕三条でも見かける事が多く、変なカバーがついていて自分では要らないなと思っていました。サイズが大きいと案外お湯もたくさん沸かさないとだし面倒くさいなと思っていました。


そんな時、手ぬぐいを作ってもらっている藤岡染工場の専務から日東紡新潟工場の話を聞き新潟で綿糸をつくる工場がある事を知りました。ほぼ同時期に私がやってる「新潟ロビー」でニットメーカーのフォルツさんと知り合いました。

日東紡さんの工場を見せてもらいましたが、正に昭和の工場といった迫力で富岡製糸工場同様にレンガ造り(その上にモルタルが塗られていましたが)のノスタルジックな工場は素晴らしいです。
工場の方の話では「設備が古いためむしろ生き残っている」と話されていました。新潟市で高級タオルの原糸製造されているならば是非湯たんぽカバーに使いたいと思いました。


新潟市の隣にある五泉市では地場産業であるニットメーカーがある事は知っていました。ただ、今まで工場に足を運んだことが有りませんでした。取引が有れば別ですが、近所にあっても地場産業は外の人からするとハードル高いですよね。今まで意識した来なかったのですがニットというとセーターみたいなものを連想しTシャツの生地やトレーナーなどの生地は別だと思っていました。

織物と編物に大きく分かれて、糸を縦と横に組み合わせて作る生地が織物で糸同士をクロスさせ作り出す生地は編物なんですよね。夫々染め方などの違いで様々な生地になる。そんな中でも五泉のニットは全国的にもでも高級産地として知られて来たそうです。

ニットの高級だから「純毛」みたいな発想でウールを主に取り扱ってきたので婦人物のセーターやカーデガンが中心で海外の安いものに取って代られ厳しい状況です。洋服はブランドが有り簡単にはOEMからの脱却が難しいけれども雑貨であれば新しい活路が見いだせるのではないか?とのことで私達の湯たんぽカバーに協力してもらえることになりました。


綿花から取られた綿の原料は季節と産地ごとに管理され混ぜ合わせられます。こうしないと糸になった時に品質の差が出て色ムラになったりするそうです。綿花をほぐし1本1本の繊維にして短いものをと長いものに選別します。もちろん初めはゴミなどが分けられ、次には短い繊維が分けられ(これらが布団の綿になるそうです。)長いものだけが糸になるそうです。この工程は何度も繰り返されます。長さが21ミリ以下は短繊維、長さ28ミリ以下が中繊維、長さ28ミリ以上を長繊維と呼ぶそうですが長繊維の中でも35ミリ以上の特別に長いものを超長綿と呼びます。糸に加工した時長さが有るので丈夫で光沢感が有り肌触りが良いのが特徴です。この貴重な超長綿を加工する際の「落ち綿」と呼ばれる糸を日東紡で糸にしてもらい「湯たんぽカバー」に使っています。


編み方も様々です。冬を楽しむ道具がコンセプトなので視覚的にあたたかなイメージにしました。綿糸でありながら五泉という産地が得意とするウールのセーターのような編み方をしてもらいました。網目を大きくとりゲージの広い編み方です。空気を蓄えるこの層と本体が直接触れることの無いように内側にはしっかりと裏地を合わせています。見た目に暖かく肌触りが良く、洗って風合いが楽しめるカバーになるように考えました。写真は最終製品とは違いますが8月中には完成して9月末には発売できる予定です。


パッケージもプレゼントに出来るかわいい箱になる予定です。この湯たんぽから金属以外のやわらかいものには少しだけ違ったFD STYEのロゴが使われる予定です。





コメント

このブログの人気の投稿

鉄フライパンの安全性について

百年物語の鉄フライパン

金属も色々あって食品に触れる時、どの様に考えるかという事。