SCAJ2025に出展します ― 会場限定パッケージの実験

私たちFD STYLEは、SCAJ2025に出展します。コーヒーの展示会に参加するのは、昨年に続いて2回目となります。今回は、会場限定で試してみたいことがあり、現在準備を進めています。それはワイスケドリッパーの会場限定パッケージです。

パッケージの悩み
FD STYLEのように小規模で展開するブランドにとって、パッケージは悩みの種です。一般的な印刷パッケージはある程度の数量を前提に効率が成り立つため、製品の生産規模と合いません。とはいえ、パッケージは製品の価値を伝える大切な要素です。

ワイスケドリッパーと黒染めの特性
今回の対象となるワイスケドリッパーは、ステンレスを「黒染め」した仕様を採用しています。ただし、ステンレスの黒染めは一般的ではなく、量産品には向きません。理由はTIG溶接による組み立ての際に高温で材質が変化し、染まりにムラが生じるからです。

ムラを目立たなくする方法もありますが、コストが上がってしまいます。そこで、私たちはあえてムラをそのまま受け入れることにしました。工業製品でありながら工芸品のような「個体差」を楽しめるデザインとしたのです。その代わり、通常のステンレス素地バージョンとの価格差はつけず、選ぶ楽しみを残しています。

従来パッケージの限界
この思想を反映するため、これまでは全体を覆わないスリーブ型のパッケージを採用してきました。外観の個体差を確認できる一方で、丈夫さに欠け、移動の際に傷みやすいという課題がありました。完全な箱にすれば保護はできますが、それでは「個体差を見て選ぶ」という楽しみが失われます。

3Dプリンターで作る会場限定パッケージ
そこで今回、3Dプリンターでパッケージを作る実験を試みました。外観をそのまま確認でき、蓋を外せば内側も見える構造です。必要な数量だけを作れるため、小規模生産との相性も良いと考えています。
使用する素材は植物由来のPLA(ポリ乳酸)樹脂。環境負荷も最小限で、展示会という「場」にふさわしい試みになると感じています。

所有する一つを選ぶ体験 この限定パッケージは、決して高価な製品ではありません。ただ、目の前にある個体を自分の目で選び、所有するという体験を提供できるのではないかと思っています。もちろん、従来のパッケージも並行して販売します。

どのような反応があるかは未知数ですが、会場だからこそできる実験です。昨年の展示会では多くの方と直接お話しする機会を得られました。今年もまた、新しい気づきにつながることを楽しみにしています。

ワイスケドリッパーはこちら。

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